橋本甲状腺炎

橋本甲状腺炎は、甲状腺機能低下をもたらす、甲状腺腫を伴う甲状腺の自己免疫炎症の一種です。

橋本甲状腺炎に見られる甲状腺腫は、小さなものから大きなものまで様々で、通常は固く無痛で、表面はしばしば不規則な瘤状を呈しています。合併症のない橋本甲状腺腫では痛みはめったに生じませんが、腫脹する甲状腺を伴う場合には、長期にわたる橋本甲状腺炎患者にほぼ例外なく見られる悪性甲状腺腫、B 細胞リンパ腫の発現を示します。

甲状腺の破壊は数ヵ月から数年にかけ進行的に生じるため、診察時には甲状腺機能正常の患者もよく見られますが、甲状腺ホルモン値は基準範囲内でも血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が向上していることもあり、下垂体主導の代償を伴う潜在的な甲状腺不全を示しています。

一般白人人口中の自己免疫性甲状腺機能低下症の有病率は、女性で1~2%、男性で0.1~0.2%であるのに対して、甲状腺自己抗体は中年女性の20%に見られ、巣状甲状腺炎の存在を示しています。このように、甲状腺自己免疫の血清学的徴候を持つ個人のうち、臨床的疾患を呈する患者はごく少数です。